日銀、物価上振れを受け政策金利を1%へ引き上げ 追加利上げも視野
日銀は2026年6月16日、政策金利を25bp引き上げて1%とした。借入コストは1995年9月以来の高水準となり、約30年ぶりの水準感に戻った。
植田和男総裁は、物価上振れリスクが2%の物価安定目標を超える可能性があるとして、追加利上げの余地を示唆。6月3日にはインフレ圧力の根強さを理由に、さらなる引き上げに向けた議論の必要性に言及していた。氷見野良三副総裁も、エネルギー価格の上昇や中東情勢の不安定化を物価押し上げ要因として挙げている。
指標面でも強さが確認されている。日銀の新たな物価指標では、2026年4月のコアインフレ率が2.8%に到達。2013年1月に設定された2%目標を大きく上回った。
暗号資産を含むリスク資産の投資家が注目すべき点は、円キャリートレードの巻き戻しだ。日本の金利が長らくゼロ近辺にあったことで、投資家は円で低コストに資金を調達し、株式や債券、暗号資産など利回りの高い資産へ振り向けてきた。日銀が利上げを進めれば円建て調達コストは上昇し、金利差縮小を背景に円高圧力も強まりやすい。円で買われた資産は、ポジション解消に伴う売り圧力にさらされる。
同様の局面は過去にもあった。2024年8月には、日銀のサプライズ的な利上げが円キャリーの急激な解消を招き、主要資産クラスに波及。ビットコインも例外ではなかった。
今後の焦点は大きく3つある。第一に円相場だ。円高は世界のリスク資産に逆風となり、対ドルで円が上昇するほど、資金がリスクオン取引から日本国債や国内の安全資産へ戻りやすい。第二に主要国との金利動向の"収れん"だ。日銀が利上げ局面に入る一方、他の主要中銀は利下げや据え置きを進める局面もあり、為替市場に複雑な力学を生む。
第三に物価の次の確認だ。2026年4月のコア2.8%が加速するか、鈍化するかが次の分岐点になる。物価上昇が続けば日銀は引き締め継続を迫られ、利上げの積み重ねがキャリートレードの巻き戻しリスクを高めることになる。